2011年01月08日

文章の書き方

今回は宣伝めいた文章です。

「文章の書き方」の本を、これまでに2冊出しました。1冊は2年前、もう1冊は今月の刊行です。
A 『非論理的な人のための 論理的な文章の書き方入門』(ディスカヴァー)
B 『伝わる文章の書き方教室』(ちくまプリマー新書)
いっぱしの文章家気取りか、と言われると心苦しい限りです。私は格別、文章家でも名文家でもありません。ただ、「こう書けば論理の通った文章になる」「こう書けば分かりやすい文章になる」ということを、筋道を立てて説明する自信はあります。簡単な原理を守って書きさえすれば、誰にでも、最低限の論理性と明快さを備えた文章が書けます。そのことを説明しました。

それにしても、「簡単な原理」を説明するために、2冊も本を書く必要があるのだろうか、という疑問は、当然生まれます。簡単な説明なら、1冊ですむはずです。

ただ、この2冊が扱う文章は、それぞれちょっと違います。テーマが微妙に違うので、やはり、別々の本で論じる必要があります。

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Aの『非論理的な……』では、論理的な文章を書くための方法を説明しています。この本を書くに当たって、私が特に念頭に置いたのは、大学生のレポートや論文です。

私自身、大学生の頃、レポートを書くのには苦労していました。「レポート・論文の書き方」といった本は読んだし、文章構成をどうするか、資料をどう集めるか、参考文献をどう示すか、などということは分かりました。それでも、レポート・論文と呼ばれる文章の本質については、まだよく理解できませんでした。「あっ、要するにこういうことか」と分かったのは、大学卒業後、ずいぶん経ってからのことでした。「こういうことか」と気づいた文章の根本原理を、できるだけていねいに、単純明快に説明しようとしたのが、Aの本です。

Aの本は、幸いにも、予想外の好評をいただきました。高校や大学などで文章指導に当たっている方々、あるいは、文筆にたずさわる方々などから、激賞とも言えるご評価をいただいたことは、著者冥利に尽きました。自分の考え方が間違っていないと認めてもらえることほど、うれしいことはありません。中には、「当たり前のことしか書いていないじゃないか」という批判もありましたが、これも、ある意味ではほめことばです。何しろ、「あとがき」で断ってあるように、私はそもそも「当たり前」のことを書こうとしたのですから。「当たり前」のことが分からないからこそ、(学生時代の私を含め)みんな困っているのです。

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Bの『伝わる文章の書き方教室』は、論理的な文章にとどまらず、およそ文章を書くときに必要な、「伝える」という目的を達する方法を説明しています。文章を書く目的は何かというと、これはほぼ例外なく、ものごとを読み手に伝えることです。ところが、肝心の「伝える」という機能が果たされていない文章が少なくありません。そのような文章をどう書き換えれば伝わるようになるか、というところに話をしぼって書きました。

などと言うと、実に大まじめな感じです。でも、私はむしろ、読者に楽しんでほしいと思って書きました。

この本は、ゲームふうの「例題」の連続で進んでいます。例題を解きながら、文章のコツを会得してもらおうとしています。

例題とは、たとえばこういうものです。ある小説の一節を、「い」の音を使わずに書き換えてみる。あるいは、漢語(漢字を音読みすることば)を一切使わない文章に書き換えてみる、などなど。ほかにも、ことば遊びふうの例題を多く用意しています。

「ことば遊びなんかやりたくないよ、それがどうして『伝わる文章』の話につながるのだ?」と言われそうです。でも、ちゃんとつながりますから、心配しないでください。本書は、「ゲーム感覚で楽しみながら、伝わる文章が書けるようになる」ことをねらって書いています。さっそくお寄せいただいた感想の中には、「実用書であるとともに実に楽しい読み物となっている」というおほめのことばもあって、まさしくそのつもりで書いた私としては、ありがたいことでした。

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レポート・論文に追われる学生諸君はAの本を、楽しみながら、達意の文章が書けるようになりたいと思う方はBの本を、どうぞご覧ください。


posted by Yeemar at 08:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 表現・文章一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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