コウさんが教えます!私は最近、この「わがまま」ということばに注目しています。これまで「わがまま」といえば、「なんてわがままな子どもだ」とか、「わがままを言ってはいけない」とかいうように、否定的な語感をこめて使うことが多かっただろうと思います。「私のわがままを聞いていただいてありがとうございます」とは言っても、「あなたのわがままを聞いてさしあげましょう」とは言わなかったはずです。そんなことを言えば相手は怒り出すでしょう。
男が食べたい
ワガママごはん
(「オレンジページ」2006.02.02広告「朝日新聞」2006.01.17 p.12)
ところが、最近は、肯定的な語感をこめて「わがまま」を使う場合があります。この雑誌の広告にある「ワガママごはん」というのは、「自分の流儀で作る(食べる?)ご飯」ということでしょう。これはよい意味で使っています。
もっとも、手元には、このように肯定的な語感の「わがまま」の例は、これまで1例もありませんでした(これは私の怠慢のせい)。インターネットでは、「とってもわがままなあなたのために」などという、失礼きわまりないとも言える例を見つけています。しかし、マスメディアで使っている例としては、きょう見た広告が、貴重な第1例目ということになります。
「オレンジページ」の最新号を買って読めば、もう少し例が拾えるかもしれません。買ってみようかどうしようか、迷うところです。
同じような事情で注目していることばとして、「欲張り」があります。「欲張り」は、どう考えても肯定的なことばではないと思っていました。ところが、女優のミムラさんがコマーシャルで、
女はけっこう欲張りなのよ。と使っています。これは、べつに謙遜しているわけではないでしょう。それどころか、なんだか得意げに言っています。
(富士通「FOMA F700i」CM テレビ朝日 2005.04.25 23:00ごろ)
このことばが相手に対して使われることもあります。
もうふつうのクリスマスでは満足できない、そんな欲張りなあなた。「ものしり一夜づけ」が、ちょっぴり知的な香りが漂う、大人のクリスマスをお届けします。「私が欲張りだと? けんかを売ってるのか?」と色めき立つのは間違いです。それどころか、話し手は好意に満ちているのです。
(NHK「ものしり一夜づけ」番組宣伝 2004.12.14 19:56)
何気なく使ったことばが、無用のいさかいを招かないように、注意が必要です。



