2005年12月31日

彼女はどちら

大晦日の「紅白歌合戦」にちなむわけではありませんが、歌手の倖田來未さんに関する週刊誌の記事をひとつ取り上げます。倖田來未さんの所属するエイベックスの関係者が彼女について語ったコメントが、次のように紹介されています。
「〔倖田來未は〕デビュー以来ストレスで過食し、太ったり痩せたりの繰り返しでした。妹のmisonoがボーカルだった人気ユニット『day after tomorrow』が、彼女の太りすぎで芸能活動を中止したように、『うちは太る家系だから』という強迫観念がある。体型維持のため食を減らし、さらに禁酒、禁煙で節制しているから、恋愛だけは我慢できない」(「週刊文春」2005.11.10 p.39)
さて、ユニットの活動を中止させるほど太ってしまった「彼女」とはだれか。ずっと最後まで読めば誤解の余地はないでしょうが、私は「彼女」の部分で2、3秒ほど引っかかりました。

ふつうに考えれば、「彼女」は「妹のmisono」さんでいいのでしょう。人気ユニットの中心となるボーカルのmisonoさんが太りすぎたため、そのユニットが活動を中止した、と読み取ることができます。しかし、このコメントは倖田來未さんについてのものですから、ぼんやり読んでいる読者(私)は、「彼女」を倖田來未さんのことだと考えたくなります。

妹がボーカルを務めるユニットになぜか倖田さんも(コーラスか何かで)参加し、倖田さんが太りすぎたため、ユニットの活動自体が停止してしまった、と読めないこともありません。私は、そう読んだのでした。

私のぼんやりを棚に上げて言うなら、この文をあいまいにしているのは「彼女」という代名詞です。同性が2人以上出てくる場面で「彼」とか「彼女」などのことばを使うのは控えるべきです。「彼」「それ」「これ」など、いったいに代名詞というものは、不用意に使うとかえって混乱の元になります。

上の記事の字数を変えずに書き換えるならば、たとえば、次のようにしてはどうでしょう。

「妹のmisonoも人気ユニット『day after tomorrow』のボーカルだったが、太りすぎでユニットが活動中止になった。『うちは太る家系』という強迫観念が倖田にはある」

文を短く切るのも、私の好みであります。
posted by Yeemar at 20:47| Comment(0) | TrackBack(1) | 表現・文章一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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