2007年09月01日

誤用から?「活気的」

「かっきてき」と発音することばは、漢字で書けば「画期的」しかないように思われます。「一時代を画(かく)する」という意味です。何十年に一度というような発明は「画期的な発明」です。

ところが、もうひとつ「活気的」ということばもあるようです。私がこれを初めて耳にしたのは、1999年のことです。広末涼子さんが早稲田大学に入学したころ、ワイドショーをぼんやり見ていると、出てきました。早稲田の商店街の店員が、次のようにインタビューに答えていました。
店員 ええあの、〔広末さんが大学に〕来たら、お客さん、ファンが多いんで、けっこう大学が盛り上がるかもしれないと思います。
レポーター 早稲田の街に、活性化……。
店員 かっきてきになっていいと思いますよ。
(日本テレビ「THEワイド・広末涼子早大入学式」1999.04.01)
私は、言い損ないかと思っていました。いきなりインタビューされたので、どぎまぎして、「活気が出ていいと思います」という意味で、「活気的」と言ってしまったのではないか。

一応メモはしておきましたが、「まあ個人の言い誤りだろう」と考えて、それほど気に留めないまま、何年も経ちました。

ところが、今年になって、ふたたびこの「活気的」を耳にしました。「昭和62年」を振り返るテレビ番組で、女流棋士の藤田綾さんが、この年はどんな年かを聞かれて「活気的な年」とフリップに書きました。司会の松本和也アナウンサーがちょっと狼狽した様子で言いました。
松本 わざとそれは字は変えてます?
藤田 (何のことか分からない様子で)ああわざと……
松本 活気の、的な年。
藤田 そうです。
松本 おお。と言うと?
藤田 やっぱり、バブルもあって、お金の流通もよくなって、お金の使い方とかも活気的になったり、〔略〕ゲームも活気的になってきてますし、やっぱり高速道路とかもJRとかも出来てきて、いろいろと活気的な年だなと思いました。
松本 なるほどね、あの時代を画す画期じゃなくて、活動の気と書いてるところが非常に面白いと思います。活気的な年。なるほどねえ、いろんな言い方があります。
(NHK-BS2「日めくりタイムトラベル 昭和62年」2007.07.07 20:00)
邪推かもしれませんが、松本アナウンサーは、藤田さんの書いたことばを「本人は知らないで誤用している」と直感して、「それはわざと書いたのですね」と助け船を出したのではないでしょうか。ところが、藤田さんのほうは、「活気的」ということばに違和感を感じていないので、おそらくしまいまで、松本アナウンサーの言っている意味が分からなかったのではないかと思います。「画期的」をもじって「活気的」にしたという様子には見えませんでした。

ここで、「Yahoo!」を検索してみます。「画期的」が「約12,600,000件」と表示されて非常に多いのは言うまでもないとして(実数が1千万もあるかどうかは、1,000件以上の確認ができないため不明)、一方の「活気的」も「約34,200件」であって、十分多いのです(2007.09.01)。藤田さんが意識的にもじって「活気的」と書いたかどうかはともかくとして、このことばは広く使われています。もしかすると、上の2人のやりとりは、「活気的」ということばを使わない世代と、使う世代の行き違いだったのではないかと見ることもできます。

「活気的」は、おそらくは「画期的」を誤解して生まれたことばでしょう。または、「画期的」に類推して、別にもじってやろうという意識もなく、「活気」に「的」をつけたものでしょう。印刷物では、校閲の手が入るために、なかなか出て来にくいと思います。しかし、存在は確認できたといっていいでしょう。

同音語が1つ増えて、ややこしくなったことは確かです。
posted by Yeemar at 15:18| Comment(4) | TrackBack(0) | 語彙一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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